噛む力が弱くなってきた

咀嚼力の弱ってきた高齢者の食事について

今までは何も感じずに食べていたのに、歳を重ねるごとに噛みにくくなったりむせやすくなったりしていませんか?これは咀嚼力(噛む力)と嚥下力(飲み込む力)の低下が原因かもしれません。この状態を放置しておくと、低栄養や筋肉低下による免疫力低下やロコモティブシンドロームの発症ということになりかねません。

だからといってなんでもかんでも刻んだりミキサーにかけたりするのはちょっと待ってください。逆に食べにくなって誤嚥性肺炎のリスクが上がったり、見た目の悪さから食欲低下を招きかねません。

咀嚼力や嚥下力の改善には栄養バランスの整った食事を噛める範囲で噛むことが大切です。口を動かすのも筋肉ですから、腕や足のように鍛えられます。そしてそのためには安心・安全に食べられる食事形態が必要です。

市販品の活用

嚙みやすく飲み込みやすい食事を家庭で作るのはなかなか難しいでしょう。そんなときには市販品に頼ってみるのも良いでしょう。

ユニバーサルデザインフードとは日本介護食品協会が制定した咀嚼力・嚥下力の段階的区分で、残存機能を活かすためまた商品を選ぶ際の指標とするためのマークです。商品パッケージにマークを示すことで介護食品に専門性のない一般の方でも容易に判断することができますね。

今は介護食も手軽にスーパーや薬局で手に入るようになりましたが、咀嚼力・嚥下力が気になり始めたらまずは医師など専門家に相談して指示をもらいましょう。自分に合った噛みやすく、飲み込みやすい食事を食べることで低栄養を予防しQOLを維持することができます。

また、一般的に販売されている介護食以外に、「宅配食」でも「やわらか」メニューなど、残存機能を活かせる「食事形態」のお弁当を扱っているサービスがあります。

参照元:株式会社ロッテ「噛むこと研究室」噛む力が健康寿命と関連する!? (https://kamukoto.jp/mouth/891

咀嚼力の弱ってきた高齢者に対応している宅配食の企業例

まごころ弁当

「一口大」「刻み」「極小」「極小のとろみ付き」など食べる方の咀嚼能力に合わせた対応が可能です。また、固形の食べ物を噛んだり飲み込んだりするのが苦手な方向けに「ムース食」の準備があります。UDFで「舌でつぶせる」に該当しています。

参照元:まごころ弁当公式サイト(https://www.magokoro-bento.com/

やわらかダイニング

食感も残しながら、柔らかめに仕上げた「ちょっとやわらかめ宅配食」、形はあるもののお箸でほぐせる「かなりやわらか宅配食」、食材すべてをムース状に仕上げた「ムースやわらか宅配食」の3種類の硬さから選ぶことができます。

参照元:やわらかダイニング公式サイト(https://yawaraka-dining.com/

宅配クック123

かたいものは苦手だけれど刻み食が食べにくい方向けの「やわらか食」や食材すべてをムース状にした「ムースセット食」、消化しやすく調整してある「消化にやさしい食」があります。現在の自分の状態に合わせて選べて便利ですね。

参照元:宅配クック123公式サイト(http://takuhaicook123.jp/menu/

まとめ

どんなに年齢を重ねても最期まで口から食事を食べたいと思うのは人として当たり前のことです。ただ、その当たり前が当たり前じゃなくなるときが来るかもしれません。だからこそ、便利に利用できるものは便利に活用して可能な限り元気な生活を続けましょう。


管理栄養士・介護食士<br>健康運動指導士 村井 香枝さん

管理栄養士・介護食士
健康運動指導士 村井 香枝さん

この記事の執筆者をご紹介

村井 香枝さん
管理栄養士・介護食士・健康運動指導士とし約20年の福祉施設での勤務を経てフリーランスの管理栄養士に転向。 「全世代対象の食育教室」「高齢者のための介護予防運動教室」の講師として行政を中心にご活躍中です。
専門(得意?)分野は「人を笑わせること」。難しい内容も噛みくだいておもしろおかしく、笑って免疫力を高めて帰っていただくのが村井さんの講演スタイルです。

※「高齢者向け食事宅配サービス選びのポイント」「栄養バランスを考えた高齢者食と宅配サービス」
「高齢者に多い持病や症状と食事の注意点」のカテゴリを執筆いただきました。