高血圧

「高血圧、血圧高め」と言われる高齢者の食生活の基礎知識

味覚の低下などの原因により塩分を摂りすぎてしまう高齢者は、血圧が高いことによる生活習慣病のリスクがついて回ります。高血圧を予防・改善するためにはカロリーや塩分の多い食事を改善する必要があります。漬物の食べ過ぎやできあがった食事への醤油の回しかけ、加工品の多食など心当たりはないですか?

高血圧を予防・改善するためには減塩はもちろん、野菜や果物などでカリウムの摂取、肉を控えめにしてコレステロールや飽和脂肪酸の摂りすぎを押さえましょう。やはりバランス良く腹八分目が理想ですね。

ただし、減塩にばかり気を取られているとナトリウムが不足してしまい、生命の維持が危ぶまれます。何でも「いい塩梅」が大切ですが、この「いい塩梅」が一番難しいですね。自分に適した塩分量はかかりつけの医師や管理栄養士など専門家に相談してその指示に合った食事内容を心がけるようにしてください。

塩分設定低めの高齢者向け宅配サービス例

ご家庭で塩分を控えて栄養バランスの良い食事を作るのはなかなか難しいですね。特に高齢の方ほど自分で作るのは困難でしょう。そういったときに便利なのが宅配食です。塩分だけでなく他の栄養バランスも考えられてつくってあるので高血圧を予防・改善はもちろん、健康全般に良い食事ですよ。

【塩分1.6g】ニチレイフーズダイレクト

ここでは塩分控えめ7食セットコースが6種類から選ぶことができます。どのコースを選んでも塩分は7食平均1.6gと低めの設定。カロリーも平均200Kcal前半と低め設定なのにバラエティに富んだ食材を使ているのが特徴です。

参照元:ニチレイフーズダイレクト公式サイト(https://wellness.nichirei.co.jp/shop/pages/taisaku.aspx#id_salt

【1~3g】ライフデリ

「普通食」として提供されるお弁当が塩分1~3gと減塩設定です。ごはんとセットでも500~600Kcalと高すぎないカロリー設定。おかずの種類も多く、丼やカレーなども提供されるため療養食と意識せずに食べることが出来るでしょう。

参照元:ライフデリ公式サイト(https://lifedeli.jp/menu.php

【塩分約2g】健康宅配

おかずのセットが1食あたり塩分2.0g以下でカロリー270Kcalと低設定であるにもかかわらず、主菜に副菜が3品もついてくるバラエティ豊かなお弁当です。日本糖尿病学会や日本腎臓病学会発表のエビデンスがあるのが特徴です。

参照元:健康宅配公式サイト(https://www.kenko-webshop.jp/user_data/energy.php

高血圧対策を続けるために!塩分以外の注意ポイント

「高血圧対策=塩分を控える」は有名ですが、その他にも高血圧いくつか対策があります。以下の4点を参考にしてみましょう。

食物繊維は高血圧対策に◎

野菜や海藻に含まれる水溶性食物繊維には、小腸内で不要な塩分を排出する働きがあります。さらに同じく野菜や海藻に含まれるカリウムには血圧を下げ、ミネラル類には血圧を調整する働きがあることがわかっています。

食物繊維は腸をキレイにするためだけの栄養素ではないので、積極的に摂りましょう。果物にも豊富な水溶性食物繊維やカリウムが含まれていますが、果糖という糖分も多く含まれていますので、食べすぎには注意が必要です。

食べ過ぎやお酒の飲みすぎは×

「減塩だからたくさん食べても大丈夫」はNGです。どんなに減塩でもたくさん使えば当然塩分過多になります。

気づきにくいポイントですが、和菓子や洋菓子には甘みを際立たせるために塩分が使われています。なので、間食を含む1日の食事では「食べ過ぎない」を目標にするとよいでしょう。

アルコール自体に塩分は含まれていませんが、塩気の強いおつまみの誘惑や食欲増進の危険性があるので、ほどほどに留めて飲み過ぎないことが大切です。

美味しい食事なら続けやすくて◎

塩分摂取量を抑えたいなら、素材の味を楽しめる食材で調理するのがおすすめです。最近では、だしの風味や酢、香辛料、香味野菜などを上手に取り入れて「減塩とは感じない減塩食」が多く開発・販売されています。自炊以外にそういったものを利用すると、長続きしやすいのでおすすめです。

美味しいと感じないご飯を食べ続けることは、ストレス以外の何物でもありません。舌が喜ぶ食事をいただくことで、無理なく高血圧対策を続けましょう。

外食や中食は選び方次第で◎

自炊が困難な高齢者にとって、外食や買ってきた弁当・総菜を家で食べる中食は便利でありがたい存在です。しかし、購入する食事の多くは味がはっきりとしているため、塩分が高い傾向にあります。

外食や中食を取り入れる際は、次のような点に注意しましょう。

  • 添付の醤油やソースは少量のみ使用、または使用しない。
  • 麺類の汁はできるだけ残す、または口を付けない。
  • 漬物や佃煮が入っているものは選ばない、または残す。
  • 加工品(ハムや練り物など)の入っているものは選ばない、または残す。
  • 野菜や海藻の入っているものを選ぶ。

まとめ

「いくら健康のためとはいえ、高齢になってまで食事を我慢したくない」と考えている方も多いと思います。読んでいただいた通り、最近の宅配食は食材を豊かに使用していてボリュームもあるのに栄養バランスがとれているものが多くあります。これなら我慢しなくても美味しく健康になれるかも!?期待が持てますね。


管理栄養士・介護食士<br>健康運動指導士 村井 香枝さん

管理栄養士・介護食士
健康運動指導士 村井 香枝さん

この記事の執筆者をご紹介

村井 香枝さん
管理栄養士・介護食士・健康運動指導士とし約20年の福祉施設での勤務を経てフリーランスの管理栄養士に転向。 「全世代対象の食育教室」「高齢者のための介護予防運動教室」の講師として行政を中心にご活躍中です。
専門(得意?)分野は「人を笑わせること」。難しい内容も噛みくだいておもしろおかしく、笑って免疫力を高めて帰っていただくのが村井さんの講演スタイルです。

※「高齢者向け食事宅配サービス選びのポイント」「栄養バランスを考えた高齢者食と宅配サービス」
「高齢者に多い持病や症状と食事の注意点」のカテゴリを執筆いただきました。