飲み込む力が弱くなってきた

飲み込むことが困難な高齢者の食事について

最近食事中によくむせるようになった、痰や咳が出やすい、微熱が出やすい、肺炎になってしまった・・・なんてことはありませんか?それ、もしかしたら嚥下力(飲み込む力)が弱っているからかもしれません。特に要介護の方や認知症の方はこういった訴えを起こしにくいため周囲の介護者がよく観察する必要があります。

誤嚥は肺炎の要因に

ここ数年、日本人の死因の上位に位置する肺炎はウイルス性のものもあれば「誤嚥性」のものもあります。間違って肺に入ってしまった食べ物のかけらで炎症を起こした状態を誤嚥性肺炎と呼びます。

そのため、嚥下力の低下がみられたら嚥下しやすい食事に変更することが大切です。嚥下しやすい食事の特徴とは「口のなかでまとまりやすいもの」です。パンのようにパサパサしたもの、口のなかでバラバラになる練り物のようなもの、すっと喉に入ってしまうお茶などの液体は適していいません。固形物をない状態にしたり、まとまりやすくあんかけにしたりするのも良いでしょう。

参照元:日本栄養士会 読む栄養補給 NU+(ニュータス)「噛む力、飲み込む力の老化をチェックする10のサイン」
https://www.nutas.jp/category/knowledge/id2126.html
参照元:LIFULL介護(旧HOME'S介護)【栄養士が解決】誤嚥性肺炎とは
https://kaigo.homes.co.jp/manual/meal/pathology_care/aspiration_pneumonia/

嚥下の味方!嚥下ピラミッド

嚥下食ピラミッドは食事の咀嚼力・嚥下力のレベルを5段階に分けてレベルごとの代表的な状態の食材を書き込んだものです。嚥下食ピラミッドを基本に食事内容を検討すると高齢者にとっての誤嚥性のリスクを下げることが可能となります。

嚥下ピラミッド
引用元:嚥下食ドットコム(https://www.engesyoku.com/kiso/kiso06.html

嚥下食ピラミッドを使用し食形態を見極めることも大切ですが、もし咀嚼力・嚥下力の低下がみられるようであれば医師など専門職に相談して指導をうけてください。嚥下食の提案があった場合、家庭で調理するのは非常に困難です。宅配食でムース食やピューレ食を提供している企業もありますのでぜひ参考にしてみてください。

飲み込めない高齢者に対応できる宅食サービス例

SOMPOケアフーズ

舌で潰せる「ムース(やわらか食)」が28種類、咀嚼力・嚥下力の低下した方向けの「ピューレ(ミキサー食)」が14種類と多数取り揃えています。彩りも美しいため、見た目での食欲低下も防ぎ楽しく食べられるよう配慮されています。

参照元:SOMPOケアフーズ公式サイト(https://www.sompocarefoods.com/service/syokurakuzen/

ライフデリ

「ムース食」は嚥下食ピラミッドLv.3~5まで対応で幅広い方にご利用いただけます。なんとメニューは500種類。飽きの来ない対応をこころがけています。盛付も魚型や美しい角切りなど見た目の美しさにもこだわっています。

参照元:ライフデリ公式サイト(https://lifedeli.jp/menu.php#footer5

メディカルフードサービス

「ムース食」では嚥下食ピラミッドの区分3「舌でつぶせる」を基準に調理しています。低エネルギー・低たんぱく質になりがちなムース食でもしっかりとエネルギーとたんぱく質が摂れるように調整してあるのが特徴です。

参照元:メディカルフードサービス公式サイト(https://medifoods.jp/mousse/

まとめ

最期まで自分の口で食べ続けるためには高齢者の状態に合わせた的確な判断とそれに準じた食事を提供することが大切です。しかし、専門性の高い分野となりますので、頼れる部分は専門的なところに頼って、家族が無理せずに最後まで笑って高齢者に接してあげられる環境をもってください。「ああ、美味しかった」がいつまでも言えますように。


管理栄養士・介護食士<br>健康運動指導士 村井 香枝さん

管理栄養士・介護食士
健康運動指導士 村井 香枝さん

この記事の執筆者をご紹介

村井 香枝さん
管理栄養士・介護食士・健康運動指導士とし約20年の福祉施設での勤務を経てフリーランスの管理栄養士に転向。 「全世代対象の食育教室」「高齢者のための介護予防運動教室」の講師として行政を中心にご活躍中です。
専門(得意?)分野は「人を笑わせること」。難しい内容も噛みくだいておもしろおかしく、笑って免疫力を高めて帰っていただくのが村井さんの講演スタイルです。

※「高齢者向け食事宅配サービス選びのポイント」「栄養バランスを考えた高齢者食と宅配サービス」
「高齢者に多い持病や症状と食事の注意点」のカテゴリを執筆いただきました。